誰も見たことがないものを
作り上げる楽しさがある

新書編集部 編集長 三宅貴久 Takahisa Miyake

1994年入社、販売部配属。カッパブックスを経て、2001年光文社新書創刊につき新書編集部に異動。学芸副編集長、電子出版副編集長を兼任し、2014年から現職。

個性豊かなメンバーが集まる新書編集部

 書籍の編集部は、編集者対著者、編集者対編集長と、個々に別々の仕事をしているので黙々と仕事していて静かだというのはよく言われる話です。ですが、いまの新書編集部は週刊誌出身やファッション誌出身、とすごく多様なメンバーが集まっていて個性が強い。編集部の旗印のひとつに多様な企画を出したいというのがありますので、そういうメンバーでお互い刺激しあって企画も多様になっているのでいい雰囲気です。

創刊から変わらない方針は
「面白そうなことはやってみよう」

 『世界一美味しい煮卵の作り方』(はらぺこグリズリー著/2017年2月発売)のようなカラー新書や、『非属の才能』(山田玲司著/2007年12月発売)の全文ネット公開、『教養は児童書で学べ』の著者、出口治明さんによるオンライン受講を含む連続講義の開催も部員からの提案があって決まったことです。従来の新書の枠組に囚われないようなことをやりたいし、とにかく面白そうなことはやってみようというのが、創刊から変わらない編集部の方針です。出版局長もどんどんやれと言ってくれるのがありがたいですね。『ヒルビリー・エレジー』(J・D・ヴァンス著/2017年3月発売)も最初は新書で出す予定が単行本になってしまいました。普通なら隣に単行本部署あるからバッティングしちゃうでしょって言われると思うんですよね(笑)。

新書を起点になんでもできる

 新書の読者層は50代男性が中心ですが、光文社としても読者層として持っていない年代に向けてということで、児童書や絵本も今後のラインナップにあがっています。『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎著/2017年5月発売)などは映像化やコミック化の話がきています。女性や若い人にもどんどん手に取ってもらいたい。個人プレーの書籍は個々の提案も通りやすいですし、新書を起点になんでもできるというのはやっていてとても楽しいし、やりがいもひとしおです。

あなたの“面白レベル”を上げてください

 常々気をつけてはいるのですが、どうしても過去の売れたパターンに引っ張られがちです。ひと昔前のものは、一周回って新しくなるので、それはそれで狙い目なのですが、私も創刊から編集部にいて、自分が意識せずとも固まって古くなっている部分が必ずあります。だから過去のパターンに囚われず、マーケティングを超えた先にあるものを作れる人に来てほしいですね。「誰も知らなかったけどこんなに楽しいことがあったんだ」というもの。iPhoneだって、言ってしまえば携帯電話とiPodを組み合わせただけで、それまでにあっても不思議ではなかったのに、なぜかなかった。そして世の中の風景を変えてしまった。だから、それははるか彼方にあるものじゃなくて、意外と近くに潜んでいると思うのです。
 面白さというのは個人的なものでいろいろなパターンがあります。だから、本でも漫画でも映画でも音楽でも芝居でもアートでもテレビでもラジオでもウェブコンテンツでもスポーツでもゲームでも、面白いものにたくさん触れて、たくさんインプットしておいてください。ちょっとやそっとでは面白がれなくなるから、“面白レベル”が上がっていきます。そして、私も知らない、読者も知らない、誰も見たことがない面白いことをどんどん提案してください。