INTERVIEW
書籍/新書編集部
小松 現
(1994年入社・編集長)
編集部内では若手社員のレベルアップを図ること、スピーディな対応、情報の共有です。社内的には関係部署と円滑かつ良好な関係を築くこと、対外的には光文社新書で書いてみたかったと思っていただけるラインナップづくりと信頼性の確保、個人的には、長時間労働をしない、休みをしっかりと取る、ボーッとする時間をなるべく多くつくることを心がけています。とはいえ至らぬ点は多々あり、いずれも道半ばです。
光文社に入社して以来、一度も転職したことがないのでうまく比較できませんが、同業他社や他の企業の方と話をしていると、比較的自由なところはいいところではないかと思います。ある程度の自由度の高さは、ものをつくるうえで重要なことだと思います。また、困っているときに相談すると助けてくれる人がそれなりに多いのもいいところでしょうか。ユニークな人がそれなりに多いのもいいところでしょうか。
文庫編集部時代につくった、美術家・横尾忠則さんの『名画感応術』と岡本太郎さんの『今日の芸術』です。学生時代から横尾さんのことが好きで、まさか自分が担当して本をつくることができるとは夢にも思っていませんでした。当時は成城にある横尾さんのアトリエにせっせと通っていました。岡本太郎さんのことも好きだったのですが、横尾さんとの縁で復刊した『今日の芸術』は〝岡本太郎ブーム〟の火付け役になりました。
立花隆さんが文藝春秋に入社して週刊文春に配属された際、編集部にいつも人がいなくて驚いたとかつて記していましたが、部内で「会社にいない率」トップを独走するのが入社8年めのTさん。積極的に外に出て、新鮮なネタを仕入れてきたり、新しい著者を連れてきたり、ヒット作を出したりしています。時代の空気を肌で感じるためにも、外に出て街をブラブラする、人と会って雑談したりすることは大事なことだと思います。
イーロン・マスクさんのような野望は特になく、ささやかな希望ですが、(新書編集部から)①良質な作品が生まれ続けること、②ヒット作が定期的に生まれること、③世に送り出した作品がノンフィクション関連の賞を受賞すること、④時代を超えて読み継がれるような一冊が定期的に生まれること、です。言うは易く行うは難しでこちらも道半ばですが、新たに入ってくる方々とともによりよい道を探っていくことができればと思います。