森川人事部長(以下・森川)はじめに、巴社長が光文社に来て最初に感じた「光文社の印象」についてお聞きしたいのですが、いかがでしょう?
巴代表取締役社長(以下・巴)最初に光文社の社員を見たときに思ったのは、「出版ということに対して非常に真摯に向き合っていて、その熱量がとても高いんだな」っていうことです。雑誌を作る、書籍を作る、といった物づくりに対してまっすぐ向き合って真面目に仕事をしているという印象が非常に強かったっていうのがいちばん。第一印象というよりは、この会社に来て社員を見渡したときに思ったことですね。その結果、光文社ってやっぱり雑誌が強いし、書籍も当たっているような作品を出せてきているし、ということ。最近はコミックもちょっと元気になってきたり…それはやっぱり真面目な社員の熱量の結果。
森川真面目というと、たとえば「制作物に対する真面目」とか「仕事に対する真面目」とか、いろんな真面目のタイプがあるかなと思うのですが、特にどのような部分ですか。
巴 一寿/代表取締役社長
1986年株式会社学習研究社入社。講談社、第一通信社を経て2023年8月に光文社 代表取締役社長に就任
巴どこの出版社も当然、真面目に出版活動はしていると思うんです。ただ、この会社に来たときにいちばん思ったのは、やっぱり編集者の熱量…自信みたいなものが強いということです。一方で、これからの出版社のあり方みたいなところでいうと、まだ会社でチャレンジをしていけるところもたくさんあると思っています。今、社員の持っている熱量を大事にしながら「世の中に、その熱量から生まれるコンテンツをどう行き渡らせていくのか」ということに注力したい。
森川これからの出版の形として「作っていく」だけではなくて「届ける」ことを柔軟に考えていかないと変わっていけないというお話はこれまでもうかがってきました。
巴昨今、コンテンツの届け方っていうのは紙だけではなく、たとえばWebだったり、イベントというような場所であったり、届け方がどんどん多岐にわたってきているし、進化させていかなきゃいけないわけだけれど、もっとそのツールが増やせるか、そう、ツールを増やせるか、この会社の次の課題がそれというか、次の夢というか、今やってないわけじゃないんだけれども、もっともっとそこを拡大していくことが今の会社の課題でしょうね。
森川正人/総務局人事部長
1992年入社、コミックバル編集部配属。テレビ誌、男性ライフスタイル誌などを経て、2022年に総務部担当部長。2023年11月人事部長
森川今回の採用テーマ、「光を届けろ! Challenge of delivery」については1月の始業式でも社長から全社員に話していただきましたが、この採用テーマについて社長のお考えをお聞きしたいです。
巴いや、本当に素晴らしいコピーだと思っているんですよね。あらためて言うけれど、まず光文社ってね、いい名前だよね。その「光」っていうのは人々に希望だったり、夢を与えるワードだし、それを「文」にしたためるっていう。この名前って、誇っていいんだろうと思います。その出版社の名前である、「夢」や「希望」みたいな象徴である「光」を届ける…。「光」自体にもいろいろな中身があるし、「光を届けろ!」っていうコピー自体も、実際の仕事のやり方だけでなくて、実は社員に向けても、会社に向けても言えることだったり、と思うんです。定期採用に応募してくれる皆さんにも届けたい。このコピーは人事部長が考えたんだって? どこかから拝借とかしてないよね?(笑)
森川社員総会などで「届ける」というワードを社長から何度も届けられているイメージが強くて、「では何を届けるんだろう」と考えたときに、まず光文社を届けたいし、今おっしゃっていただいた希望とか、照らすものを届けられたら、と考えました。これから入ってくるメンバーも「光」ですし。強いて拝借したと言うなら、社員総会の社長の言葉でしょうか…。
巴私が作ったコピーだったんだ(笑)。いや、冗談はさておき、本当に重要なテーマが詰まった言葉だと思います。「delivery」についてもそのとおりで、今コンテンツに触れるという場面が複雑化しているわけだから、その届け方という工夫をどんどんしていかなければいけない。工夫をしていかなければいけない。その先にあるのは、出版発の「希望」だったり「夢」だったりという光を届けたときに「きちっと届けられたか」「届けたものは期待に応えるものであったか」というのが大事だと思っていて、それをかなえるのがさっきの熱量ですよ。「この光に触れて存分に私は心が震えました。またあなたと共に歩みたいです」とコミットの約束が生まれる。
森川今年の内定者に社長が話されていた「面白いことを伝える仕事なんだから、自分が面白い生活を送らないと伝えられない」「毎日いろいろなことに楽しみながら向かって、興味を持ったら躊躇せず飛び込んでみる」という話は、出版に来てほしい人のタイプと重なると思いました。
巴そうですね。編集者はもちろん出版人として、社員全員がプロでなければいけないと常に思っているので、そのうえでは自分の得意なジャンルであったり、好きなジャンルであったりということを突きつめることは必要ですが、たとえば「女性自身」や「FLASH」のバリエーションやニュース性のあるページを見たときに個人の好きなところだけやっていても仕方ないって、思いますよね。世の中はたくさんの物事が動いているわけで、そういったものに対応するためには、自分の好きなことだけでなく、もう少し目を広げて、頭を柔軟にして、未知なものとか、もともと好きじゃなかったこととかにも興味を持てたほうがいい。それは月刊誌や書籍、それからほかの仕事も同じです。そして、基本的にやっぱり「人は好きじゃなきゃいけない、物が好きじゃなきゃといけないし、世の中が好きじゃないといけない」。そのぐらい全方位外交、「なんでも好きです」ぐらいな人のほうがいいよね。
森川そう思います。お酒を飲みに行くとどうしても不満や愚痴とかで盛り上がることもあります。それから流行っているけど嫌いな者、とか、作品とか、であったり。ただ、個人的に思っているのは、私たちの仕事はどちらかというと好きなものを伝える仕事であって、「これが好き」とか「何々が楽しかった」って話のほうが、おそらく仕事にはつながるのかなと…。好奇心が強くて、興味の持ち方にも柔軟性があって、伝えたい熱量が強い“全方位外交人”がたくさん志望してくれること、光文社にそういう社員が増えることをこれから期待していきたいです。今日はありがとうございました。
巴人が思うより出版業界って面白いよね。今日の話や採用サイトを見て、一緒に「光を届ける」人が、さらに多く入ってくれるといい、と心から思っています。「光とは何か」「どんな光らせ方がいいか」「その光をどう届けるか」、もっとみんなと話したいです。皆さんもぜひ、考えてみてください。
撮影/根本真裕美 構成/人事部 ※役職名や固有名詞は2024年2月1日時点のものになります